ごあいさつ
令和7年4月
北海道余市紅志高等学校長
西 村 博 幸
本校のWebページにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
本校は、仁木商業高校、古平高校、余市高校を再編統合し、平成21年に総合学科として開校いたしました。以来、地域の方々のご支援をいただきながら、普通科、商業科、農業科の特色を融合させ、さらに社会的要請を担った福祉教育にも幅をひろげながら推進を図って参りました。しかしながら少子化の影響や人口の都市集中の影響もあり、開校当時4間口であった学年のクラス数は、2間口を維持するのも極めて困難な状況にあり、令和6年度の生徒募集から40人1間口定員となりました。
教員数もクラス数に応じて削減され、多様な生徒のニーズに対応した選択科目を十分に開設することが困難な状況となっておりますが、地域の皆さまにご支援をいただけるような教育成果を上げ、「地域の子どもは地域で育てる」をスローガンとして、小中高校の連携はもとより、地域の方々や企業、関係機関との連携を図り、高校までは地元で教育をという気運を高められるよう努めて参ります。
さて、本校の探究活動のテーマは「豊かで安心して住み続けられる地域づくり」としています。ここで言う「地域」はまず、余市町を始め仁木町や古平町、積丹町、赤井川村など本校に通う生徒の生活圏を指しています。本校の教育活動はこれらの地域の方々に支えられ、地域の産業や福祉などを題材として教科で学んだことを生かしながら地域の方とともに課題解決を目指して様々な実践に取り組んでいます。
もう少し長い目で見ると、「地域」とは高校卒業後に皆さんが社会生活を送る場所を指します。さらに大きな視点からの 「地域」は、北海道全域を指します。北海道立の高校であることの意義は、北海道の将来的な発展を担う世代の育成です。本校から巣立っていった卒業生たちは北後志にとどまらず、北海道全域へと生活の場を広げるだけでなく、日本国内へ、ひょっとすると国外にまで社会生活の場を展開していくかもしれません。そんな時に、余市紅志高校で学んだ地域との関わり方、地域の課題を解決していこうと取り組んだ経験、多くの人々と協働して課題解決に取り組もうとする意欲などを主体的 に発揮してもらいたい。そして、自分たちが生きる社会生活の場を持続的により豊かなものにしていく上で、北海道という価値を活用したり、新たな価値を見つけていくために必要な資質・能力を身に付けることが本校教育の目的です。
本校が目指す教育成果とは、校訓を実現する人を育てることだと考えます。
本校の校訓であります「学べ優しく逞しく」とは、「満たされているときも困難な状況にあっても、そこから学ぶ姿勢を忘れないこと」「さまざまな違いのある人々のことを理解し、相手の気持ちや状況を想像し思いやること」そして「厳しい環境にあってもくじけずに、学びや思いやりの気持ちを持ち続け、将来に向かって歩み続ける意志と体力をもつこと」を意味しています。
北海道には計り知れない魅力や価値がまだまだ眠っています。このまま地方における人口流出が加速し、地方が滅びていく ようなことになってはみすみすそれらの価値を捨ててしまうことにもなりかねません。人と人、人と地域をつなぐことので きる経験や意欲を育み、北海道のあふれる生命や食と環境の重要性を理解し、人々が支え合える世の中を構築する本校での教育こそが、困難な時代の波に立ち向かい、乗り越え、新たな時代を切り拓くための播種となると信じています。
創造性、感性、知性を磨き、そして命を支えつないでいく体験的な教育の場がここにはあります。是非一度、学校にお越しいただき、本校の教育をご覧いただけたら幸いです。